負け組女子高生
次の日私は早めに家を出た。
終業式という事もあったし、昨日の事があったから悠紀に話を聞きたかった。
しかし、10分立って教室に人が集まりはじめても、予鈴がなっても先生が入ってきても、悠紀は来なかった。
深夜にうろうろするから風邪でもひいたんじゃないか。
そんな事考えながらホームルームが終わると、私は担任に呼ばれた。
言われるがままに廊下に出ると、先生は深刻そうな顔をした。
「高島の事なんだが…」
「インフルエンザですか?」
私は適当な事を言った。
先生は私から目をそらした。
「先生?」
「昨晩…なくなった。」
…え?
なんて?
先生は今なんて言った?
頭が真っ白になっていく。
私は何がなんだかわからなかった。
錯乱状態に陥った。
「なんで?おかしいじゃん。昨日の夜あたしの家に会いに来たんだよ?
漫画借りてたからって、それで昨日の夜中にうちまで返しに来たの!
それで、笑顔で手ふって別れたんだよ!?おかしいじゃん!」
私は先生の襟首を掴んだ。
先生もどうしたらいいかわからない様子だった。
廊下にいた生徒が一斉にこちらを見ている。
声が聞こえたからか教室からも生徒が覗き込んでいた。
そして、隣の教室から、体育担当のがっしりした先生が走ってきて私を取り押さえた。
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