夜明けを待って
スウェットを脱ぎ捨てると、あたしの背中に絵が写る。


何年前だったか彫った刺青は、自分との決別だったように思う。


おいらんの刺青。


遊女は、廓の中でしか生きられない。


あたしも結局そうだ。


きっとこの先も殻を破る事なく、小さな世界の中だけで一生を終えていく。
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