夜明けを待って
「ああいたいた、須藤さん。」


喫煙所を出た所であたしを呼び止めたのは、担当医の原田だった。


「すいませんね。ちょっといいですか」


笑ってはいるけど、何故か複雑な面持ちで原田はあたしを見つめていた。


「…志音、俺…」
「あ…ゴメンまた電話するわな…」


達也は原田に軽く頭を下げて、その場を後にした。


「先生…どうかしたん??何の話なん??」


努めてにこにこ笑う原田に対して、根拠の無い不安が押し寄せてきた。
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