境界

幻聴

 こんなこともあった。

「誰かが私の悪口を言ってる。」

「そんなこと誰も言ってないよ。」

「でも、聞こえるもん。」

「なんて?」

「幸子は、言ってることがコロコロ変わるから、
付き合いづらいよね、
できれば、あまり接点を持ちたくないよねって。

「それは誰が言ってるの?」

「わからない。でも確かに聞こえるの。」

「聞こえるって、どこから?」

「今も、聞こえるでしょ。向こうから。」

 と言って、指さした方を見ても誰ひとりいない。

「何言ってるの?誰もいないよ。」

「私のこと疑うの?」

 これは明らかに幻聴である。
 妄想や幻聴も、境界型人格障害の症状である。


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