境界
 もう、この街は滅茶苦茶になっていた。
 
 榎坂吾郎の不用意な言動により、
いろんな家族が殺伐とした状態になり、
不信感だらけの街になってしまった。

 周囲の意見は、賛否両論だった。

 最初にちょっかいを出した榎坂吾郎を
非難するものが大半であったが、
境界型人格障害に対する偏見もり、
幸子を非難するものもいた。
 
 しかし、僕たちは、変に結束していた。
 浮気をした幸子を許すほど、
僕は寛大ではなかったが、
榎坂吾郎を憎むことで、
幸子への怒りは抑えられていた。




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