境界
あとがき
 未だに、境界型人格障害に対して、偏見や間違った知識を持っている人たちが多いのが、実状である。

 入院しさえすれば、治る病気だと思って、入院を安易に勧める人たちもいるが、
残念ながら、決して入院しただけでは治らない。
 投薬するだけで治るような病気ではない。
 
 また、入院を勧める人たちの中には、危害を加えられることを恐れ、云わば自分を守りたいがための助言であることも、往々にしてある。

 関係が近ければ近いほど、
付き合い方が難しくなるのが、
この病気の特徴であり、周囲とのトラブルは避けられないと言っても過言ではない。

 この小説を通じて、境界型人格障害に対する偏見がどれくらい軽減できたかは、定かではない。
 むしろ、悪い方向へ助長してしまったかもしれない。

 また、小説本来の目的であるエンターテイメントとしての要素も取り入れた。
 医学書や学術書になると、境界型人格障害に興味がある人たちしか読まないだろう。
 境界型人格障害への理解度を高めてもらうことも、執筆した目的であったため、フィクションにして興味を持ってもらう工夫をしたつもりである。

 ただ、ひとつ言えることは、簡単には治らない病気であることは間違いないが、本人と周囲が諦めず助け合う環境を維持できれば、快方に向かうのも事実である。
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