境界

ごめんなさい…。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

 と何度も幸子は泣きじゃくりながら、
 僕に訴えるように謝り続けた。
 あまりにも突然のことで、僕には何のことは全くわからなかった。

「どうしたの?
何がごめんなさいなの?
何故謝っているの?
理由を教えてくれ。」
「今は、何も聞かないで。」
「いきなり、泣きながらごめんなさいと言われれば、
誰だって聞きたくなるだろう。」
「それでも、今はそっとしておいて、
話せるような時がきたら、
私から打ち明けるから、
それまで待って。史彦。」
 気になってはいたが、僕は待つことにした。


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