くだらない話


12:46 最終電車奈良方面


僕は息を切らしながら飛び乗った



大きく息を吸い込んで


吐く

僕はカバンからiPodを取り出して
フィッシュマンズを再生した



それにしても眠い



僕意外だれもいない車両に
ゆらりゆらり揺れる電車

妙に不規則にガタンゴトンと鳴り
偏屈で美しい声はうなじを重たくする



眠い。






目を閉じて

もう眠りに着こうと思うと同時に
電車は奈良についてしまった



とぼとぼと歩きながら
空を見上げると

曇っているためか 星ひとつ見えない



ぐったりと眠い体を引きずって
彼女のインターホンを鳴らすと

「どちら様ですか?」と
不安げに声が聞こえた



自分は一応彼氏ですと伝えると
ドアを開け泣きながら抱きついてきた




そっちが急に怒ったくせに
僕の顔を見ると泣いて喜ぶのだ。

女とは勝手な生き物だと思う




どうせこの後は
ごめんだの愛してるだの
大丈夫だの言わされて

キスして

そのまま満足させるまで
腰を振らされる事だろう



そして明日の朝も
きっと眠い電車に揺られて帰るのだ



もっと一緒にいたいとかぬかすのかな


本当に女とは勝手な生き物だ。


< 10 / 16 >

この作品をシェア

pagetop