ひも
二人の合間にきまづい間ができてしまった。
「え、えとあの、ごめんなさい、お、お住まいはどこですか?」
「・・・・ここの公園です」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
またしても二人の合間にきまづい間ができてしまった。
あまりにも失礼なこと聞いて幸子の頭の中は恥ずかしさでしにそうなぐらい
真っ赤になっていた。
しかし、それ以上に泉は心の中で泣いていた。はやくこの場から立ち去りたいと、そして
力いっぱい泣きたいと。あと一言致命傷を言われたら、涙がとめどなく流れる瞬間であった。そのとき幸子が言った。
「あの、もしよかったら一緒に住みませんか」
「えっ」
泉はきょとんした顔で幸子を見た。
「え、えと、ごめんなさい、わ、私、何言っているんだろう、えと、私、最近、転勤でこの近くに、引っ越してきて、えと、あと.....」
「いいの?本当にいいの」
泉は幸子の手を握りながら聞き返した。
「え、あ、はい。よろしければ」
こうして泉は幸子のマンションで暮らすことになった。

あれから2年も経つんだなぁ。
泉はしみじみ思っていた。
「はぁ、帰るの憂鬱だなぁ・・・」
そう思いながらベンチで横たわっているといつのまにやら寝ていた。
あたりはもう夕日も沈み、夜になっていた。
「う、うーん」
泉は頭の感触が柔らかく、ふかふかしていることに気付き、目が覚めた。
「う、うん、え」
そう、頭の感触は幸子の膝枕であった。
「え、えと幸子」
泉は恥ずかしそうな顔をしていた。
「ご、ごめんな・・」
幸子は指で泉の唇を防いだ。
「晩御飯できたよ。今日は佑樹の好きなハンバーグいっぱい作ったからね。はやく帰ろう」
泉の目に涙があふれていたが、幸子に気付かれないように手で拭いた。
「幸子」
「ん、なぁに」
「ありがとう」
幸子は泉の手をぎゅっと握りしめて二人でマンションに帰って行った。






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