俺様のカゴの中
自分の気持ちを確かなものにしてから気づいた。



あたしがしなきゃいけないことに。



「お父さんのとこに行ってくる」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫」



虎宇にも頼らず、自分の力でなんとかしたい。



玄関を開けて一歩踏み出す。



行くの、また自分探しに。



父の会社までは相当な距離。



走って向かった。



電車の乗り方もバスの乗り方も知らない。



ま、迷ってしまった…。



現在地もわからなくなって…。



「虎宇~!!」

「なに!?どうした!?」

「道に迷ってしまった…。お父さんの会社まで行きたいの…」

「何しに?」

「あたし、自分の意志を貫くんだよ。だから戦いに行くの」

「留宇が!?」

「あたしが」

「縁切られてもいい覚悟?」



そんな覚悟はいらないって言われた時にできてる。



もう捨てられたも同然だ。



なんとでもなれ!!



「留宇のケータイでナビ見な。俺も向かおうか?」

「来ないでね?あたしが頑張らなきゃダメなんだから」



虎宇はわかったとだけ言った。



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