俺様のカゴの中
ケータイで現在地を確認、小走りで向かった父の会社についた時には終業時間だった。



「社長室はどこですか?」

「申し訳ありませんがどちら様でしょう…」

「新島 留宇といいます 」

「新島…?」

「娘です、社長の」

「お嬢様!?少々お待ちくださいっ!!」



どこかに電話をかけた受付のお姉さん。



窓際にあるソファーに座ってしばらく待つと、息を切らせたタイラさんがやってきた。



「どうなさいました!?」

「お父さんに会いにきました」

「虎宇様はご存じなのですか!?」

「さっき道を聞いたので知ってます」

「そう…ですか…。ではご一緒に」



タイラさんの後ろを歩いてエレベーター。



緊張して来た…。



そう言えば初めて会社の中に入ったな…。



「こちらが社長室です」

「タイラさん、ありがとう」

「私はお嬢様の見方ですよ」

「へへっ…。なんか照れちゃう」

「行ってらっしゃいませ」

「頑張ります」



深呼吸をしてから…出陣。



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