俺様のカゴの中
ベランダから留宇を見ると、新年まで残り2分にも関わらず取説に夢中。



早めに消したタバコ。



新鮮な冬の空気を3回深く吸ってから中に入った。



「クロワッサンは焼きたてがいちばんおいしいと思う…」

「留宇?」

「こんなに時間のかかる食べ物だったのか…」

「…………」

「自分で動物パンがつくれるなんて夢みたい…」



オイ、0時になんだけど。



耳に入らないくらい夢中…。



やっぱりガキだな。



「オイ」

「んぁっ!?」

「明けましておめでと」

「ふっ…ん…」



無理矢理こっちを向かせてキスした。



俺だって寂しかったんだ。



留宇に触れない冷たさ、留宇と話せないストレス、留宇を追いつめた自分…。



毎晩バカみたいに考えて、ずっと反省して。



「明けまして…おめでとう…」

「ひとりにすんなよ…」

「ごめっ…」

「留宇…」

「な…に…?」

「好き過ぎてやべぇ…」



どうしちゃったんだ、俺は…。



< 373 / 620 >

この作品をシェア

pagetop