俺様のカゴの中
なんだかいとおしく思えて後ろから抱きしめると、キラは俺を拒否した。



「雷のことは吹っ切れてるんですけど」

「振ったの俺なのにな」

「今更あたしがイイ女だと気づいたか」

「イイ女だよ、キラは」

「やめてよね!!帰れなくなる…」



また泣き出したキラにヤバいと思った。



俺はキラを手放した。



今更引き留める権利なんて俺にはねぇんだ。



「餞別だ」

「えっ?いらないよ…」

「受け取れ。元カノの門出くらい祝わせろ」



財布から出した10万程度。



感謝料。



そばにいてくれて…感謝してる。



「儲かってるみたいだからもらっとこうかな~」

「俺はまだデカくなる」

「応援してるよ。あたし…行くね?」

「おぅ」



付き合った時に渡した合い鍵をテーブルに置いたキラはバッグを肩に掛けて玄関の方へ歩いて行った。



キラの後を追い、俺も玄関へ。



「カラダ壊さないようにちゃんと休むんだよ」



心配そうな顔してんじゃねぇよ…。



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