俺様のカゴの中
不安定な足下に気がついたのか、虎宇が手を差し出してくれた。



「ありがとう」

「言っとくけど、普通は兄妹で手なんか繋がないから」

「そうなの?」

「次からは自分で歩くんだからな」



照れたように笑った虎宇に少しだけ落ち着きをもらった気がした。



虎宇は優しい…。



あたしが唯一知る同い年の男。



それが兄、虎宇。



「で、どこ行くの?」

「俺がいつもどんな遊びしてるか教えに行くの」

「楽しみ!!」

「そう思ってんのは嬉しいけど…期待はずれだったらごめん」



虎宇のその言葉を理解したのは20分後。



見知らぬ倉庫へ着いた時。



「おせぇよ、虎宇」

「ごめん。妹が歩くの遅くて」



ドラマで見たことがあるよ。



使われてない倉庫…。



今から何かの取引でもあるの!?



ってくらい怪しい場所だった。



奥に進むとあるのはソファーとテーブル。



ビリヤード台と、ダーツ…?



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