俺様のカゴの中
何も言わなくなった雷さんが急にあたしの手をギュッと握った。



高そうな時計が重いのか、それとも雷さんの手が重いのか…。



大きな手が…あたしに触れてる…。



あたしよりも黒くて大きくて指も太い…。



男の人の手って感じだ…。



って、これはなに…?



「とりあえず1ヶ月付き合ってみるか」



へっ…?



それって…あたしと付き合うって意味?



だよね?



「なんで?」

「しいて言うなら…お前の顔見ると調子狂う」

「それっていいこと…ですか?」

「ははっ!!どうかな?」



キセキ!?



明日は台風!?



まさか雪でも降っちゃう!?



信じられないことが起こってるんだけど!!



「冗談…?」

「俺、そういうウソ嫌いだから」

「じゃあ本当に…?」

「あぁ、お前が俺に耐えられて俺がお前を好きになったらその先も」

「な、泣いて…いいですか…」

「くくっ…ダメ」



初めて見た雷さんの柔らかい表情はやっぱりあたしの涙を誘った。



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