テアトロ・ド・ペラの憂鬱
「…あんなちゃちいボーガンで仕事なんかできないぜ。しかもアイツ、愛用のアサルトライフルがあるだろ」
アコの両脇から手を伸ばし、目当てのオレンジジュースを掴んだピピから、更にそれを横から奪ったボウラーが言う。
それに中指を立て(汚い言葉を吐きながら)、ピピ。
「だよな。でも他に漁った様子はなかったしよぉ」
ピピが本来なら眉が生えているだろう場所を寄せて顔をしかめた。
言い忘れたが、彼は眉なしだ。眉なしの元神父。
『眉剃らせろ。今の倍、魅力的になっから』
ふざけんな、である。
そう言い寄ってきたピピに、アコは勿論、中指を立てた。
「…つうかセッタが黙って仕事って珍しくない?つうかパパはどこ行ったの」
折角、彼の好物であるリキュールボンボンとハヴァナ産シガー、それからグラッパ(透明なブランデー)を買ってきたというのに。
「パパは本部に呼び出しぃ」
休みの日まで可哀想な人がまさかここにも。
帰ってきたらグラッパを垂らしたエスプレッソでも淹れてあげよう。