テアトロ・ド・ペラの憂鬱








転がしていたキュウを下げ、散らかしていたゴミを端に寄せる。

そしてビリヤード台に、クイーンもキングも目を凝らさなくては見えやしない黒い光沢のあるトランプを器用に並べた。

さながら手つきはラスベガスのディーラー。
金髪のマッシュルームには、エドワードジャケットも似合うかもしれない…いや、やはりただの道化か。

セッタは残り物を与えられ、アコが特別に作ってくれたオムレツをアンティークソファで満足げに頬張っている。


「…よっしゃあ、賭けろ!」

ピピが悪のりする。

ガフィアーノはそそくさと自室に逃げようとしたが、そんなピピに襟首を捕まれ断念した。



「ほどほどにしなさい」

カーラはセッタと同じくアンティークソファに腰掛け、しかし手にはグラッパ薫るエスプレッソだけ。

聞けば昼食は本部の帰りに済ませてきたとか。


「アコォ!お前が欲しがってたビンテージの腕時計、賭けてやるよ」
「なんでアコ限定の賭けなんだよ!俺はお前がこのまえ買ってきたブーツがいい!」
「ふざけんな、ありゃ俺のだ。景品はアコが欲しがってる時計」
「いい加減、アコから離れようぜ!」








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