テアトロ・ド・ペラの憂鬱
「ボウラー、レディファーストだよ」
ボウラーのツッコミにいけしゃあしゃあと答えるアコはやはり素足のままだ。
それを見たガフィアーノが椅子を持ってきて、アコではなく自分が座る。
「アコ、おいで」
「ガフィ」
そして椅子に深く腰掛けた自分の脚の間に抱えたアコを導いた。
それに素直に従ったアコは笑ってガフィの滑らかな頬にキスをし、物足りないというようにガフィは唇にもねだった。
「っしゃ、じゃあ、やろうぜ」
腕捲りしたピピがにやにやしながら言う。
素足の彼女―――アコの紹介は、また次回にでも回してもいいだろうか。
今は彼等の遊戯の邪魔をするのも無粋だ。
「カード回った?」
小粋な彼等らしくポーカーかブラックジャックでもするのだろう。
ガフィとアコ、ピピ、そしてボウラーはお互いと視線を合わせ、にやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「第一回!」
威勢のいい声。
セッタとカーラはしめやかな雨音に包まれた午後の穏やかさをじわりと味わった。
「ババ抜き大会ぃいいいいい!!」
[テアトロ・ド・ペラの怪人]・終