テアトロ・ド・ペラの憂鬱
伸びやかなブラウンはキューティクルが美しい巻き髪で、それに包まれた顔は美しい曲線の卵形。
透けるような肌に、愛らしくのったピンクのチークは、大人っぽい雰囲気を柔らかくさせて、春らしいアイシャドウがぱっちりの瞳に暖かく絡んでいた。
細い肩掛けのラインが美しい、伸びやかな腕が剥き出しの、けれどいやらしくない白のワンピース。
ひらひらと春風に翻る繊細なレースから伸びた長い脚から繋がる色っぽい脹ら脛が、危ういまでの色気を漂わせている。
ワンピースと揃いのヒールの高すぎないパンプスが、大人っぽい彼女を愛らしく見せていた。
僕は叫んだ。
「ファータ!(妖精)」
―――と。
そうしてそんな僕を、ファータが振り返る。
振り返り方まで繊細で、美しくて、もはや羽根が生えていないことが不思議なくらい。
あぁ、僕は、まさか彼女に恋を―――。
「ブォンジョルノ!」
なんて眩しい笑顔だろう。
キラキラと地中海の飛沫が跳ねているような輝かしさが目に滲みる。
「今日も元気かね、生涯童貞くん」
…僕の恋は砕けた。