テアトロ・ド・ペラの憂鬱







―――それは夕飯時。

リビングにて起きた。




「ねぇ、私のパンティ知らない?」

そう霰もないことを言いながらリビングに入ってきたアコに、ガフィアーノとセッタが視線を向ける。


今日はレースが美しいシルクのキャミソール。
その裾からちらりと見える黒のホットパンツ。
そこからすっと伸びた短い脚の付け根に、色っぽい黒子があることを、ここに居るガフィアーノもセッタも知っている。

が、行方知れずのパンティについては。



「…知らない」

定位置のソファに座っているセッタの視線が再び手にしていた新聞に移る。
今日の一面は、不況に陥ったリゾートビジネスの現状。

第一位はエーゲ海にあるクレタ島だった。
美女が多いと有名だからだろうか。

その記事の真下には芳しくない株価の流れ…実にせちがらい配置である。


そんなセッタの興味なさげな態度にアコは唇を尖らせ、ドスドスと素足のままリビングのタイルを踏みつけた。







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