テアトロ・ド・ペラの憂鬱
「パンティが、ないの」
彼女はもう一度、リビングにいるガフィアーノとセッタに言い聞かせるようにそう口にした。
そこで初めて、ふたりは彼女の様子がいつも以上に違うことに気付く。
彼女がパンティやらブラジャーやらを無くすのはいつものこと。
そして「ない」と言い張って周りに八つ当たりするのもいつものこと。
まあそんな八つ当たりも仕方がない。
テアトロ・ド・ペラの男性陣は、アコ以上に彼女の下着に触れる機会があり、彼女以上に、下着の種類や数を把握していたりするから。
脱ぐ着せる脱がせるをボスはじめガフィアーノ、セッタ、ピピ、ボウラーに任せているアコにとって、行方不明の下着が出た時に一番疑わしいのは上記五人。
まあだからといって、証拠もないのに八つ当たりするのは良くない。
で、そんな彼女はもう一度、言った。
ゆっくり、噛み砕くように。
「…パンティが、一枚も、ないの」
そしてリビングで寛いでいた男ふたりは気付く。
彼女が今、ノーパンだということに。