テアトロ・ド・ペラの憂鬱
我らがテアトロ・ド・ペラで言う「捜査」とは、そんじょそこらの近辺で行われる「ごみ漁り猫の探索」や「紛失したイミテーションを探す」レベルじゃない。
科学、医学、心理学、はたまた超直感に至るまで、様々な捜査機関を通して結果を出す。
日数に時間はかかるが、正確性ならジャポーネにもアメリカにも負けやしない。
何故ならば、国境は彼らの柵(しがらみ)にはならないからだ。
どこのどんな国の技術であろうと利用できるだけ利用して真実や仕組みを探る。
五ヵ国が加盟している裏連邦の、仮にも「世界(多政府)の凶暴な飼い猫」の名に恥じるような真似はできないからだ。
世界平和の為なら、裏でどんなことだってする。
―――白いハトが飛び交う清々しい朝がやってくるには、誰かが血を流さなきゃならない夜が必要なのだ。
そして彼らの中には、前述の技術に、必要以上に長けた者もいる。
それがガフィアーノ。
彼は科学捜査マニアだ。
誰がなんと言おうと間違いない。
青ざめたピピとボウラーを余所に、暇だったというだけで捜査を行わされたガフィアーノが再度、口を開いた。