テアトロ・ド・ペラの憂鬱
情報(3)
昨夜、そばかす女をあんあん鳴かせていたのは眉なしの不良元牧師。
奴らが静まったのは朝方二時(騒音以外のなにものでもない)。
そうなれば彼は昼前まで起きてこない、筈だ。
情報(4)
そして、今。
「ア、コ…!」
壁に耳をそばだてると、ぎしぎし、とベッドが規則正しく鳴いていた。
テアトロ・ド・ペラの軋む扉を死ぬ思いで潜り抜け、リビングを横目に階段を上がる。
きちんと閉められていないくすんだ色のドア向こうからは、まさに昼前の情事が繰り広げられていた。
ギィと今にもベッドが壊れてしまいそうなほど激しく貫かれているそばかす女は、まるで人形のようだった。
相手の男のガタイがいいから、抵抗する先からそれを抑えこまれ、翻弄されている子供のようにも。
「―――っ、」
爪先から両膝、中心、心臓、そして喉を過ぎ脳味噌に、ビリビリと電流が走るような声でそばかす女が鳴いた。
こんなところに居たら、おかしくなってしまう。