テアトロ・ド・ペラの憂鬱







デリアスはたわわに実った果実が掻く汗のような瞳でカーラを見上げ、震える唇をぱくぱくと開く。

カーラはカーラで、なんだかとてつもなく彼に悪いことをしたような、そんな気分に陥っていた。

そんなカーラの視線を受け、デリアスは意を決して口を開いた。



「…そ、そばかす女が、」

ひく、と喉が跳ねる。

誰がそばかす女だ!というアコの叫びは、すかさずカーラに目配せされたピピが抑え込んだ。


「ぼ、僕を、僕を無理矢理、」

ひっくう!
デリアスの華奢な身体が一際高く鳴いた。
カタカタと震える細い肩が余りにも痛々しい。

『そばかす女が、僕を無理矢理―――』

と来たら、まさか。

カーラ、ガフィアーノ、ボウラー、セッタ、そしてピピ。

怪人五人、息を合わせたかのように、同時に、ロンメル・アコを見た。

その視線を受けて、アコはふ、と口角を上げた。
マスカラのない瞳の目尻が上がり、ブサイクではない彼女の造型が歪む。

デリアス曰くのそばかす肌が、厭らしいまでに愉快げな、はしたない微笑を浮かべた。

そんなアコを見るに見れず、泣きじゃくっているデリアスの気持ちが解らなくもない、怪人六人。






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