テアトロ・ド・ペラの憂鬱
「このあと、まだ三人の男が待っているんだぞ」
リビングで順番を待っている、セッタ、ボウラー、ピピは、そんな舌の上でじわじわ味わうような抱き方はしない。
最初っからかっ飛ばして、イカれた性欲で抱き殺すのが、好き。
だから彼らは、そこらの娼婦には決して手を出さない。
鍛えられた人間じゃなければ、余りの性急さと激しさと耐久に耐えられなくなって、過呼吸に陥るかショック死するか。
―――例え、運よく生き残ったとしても、普通の男じゃ満足できなくなる。
「あまり、飛ばすなよ…」
チェリーボーイをパンティで泣かせたアコが悪魔だとすれば、彼らは強欲な魔王か神か、はたまた腐りきった罪人か。
(…ハッ、どっちでも、一緒だ)
汚いものを、美しい揶揄で取り繕うことをしたって無駄だ。
今、問題なのは、ぎゅうと鷲掴まれた尻のこと。
「っ、」
カーラの爪が、無防備な肉に突き刺さる。
ギリギリ、ピピ達に引き継がれる頃には、きっとアコはぼろぼろだろう。
鮮やかな夜、リビングで待つ三人はベッドの軋みを、ベッド上の三人は、喘ぎと呼吸を、デリアスは悪夢を。
子守唄は、途切れない。