*SWEET LESSON*

*Two*







ニャックドバーガーのセットを二つ平らげて大和に怪訝そうな顔をされた次の日。




その日は赴任式で。



緊張のせいで何が何だか分らないまま式を終えてしまった。



さすが私立高校。



人事の異動は無く、出産を機に退職する先生の後続となったあたし以外の先生は だれも居なかった。



そのせいか、4月から2年、3年の生徒からは既に名前を覚えられてしまい、すれ違う度に「さなちゃーん」と話しかけられてしまう状況に。



いや、ね。


嬉しいんだけど、野太い声でちゃん付けは少し気持ち悪…もとい、不自然だと思う。



簡単な雑用をこなして、あっという間にその日は過ぎた。




コートを手に取って立ち上がった時



「長谷先生」



と教頭先生に声をかけられる。



「は…はいっ。何でしょう…?」



先生と呼ばれる事が照れくさいあたし。



そんな事を思っているとは知る筈もない教頭は



「今日、長谷先生の歓迎会を開こうと思うのですが、ご都合は宜しいですか?」


と明るく尋ねてくる。




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