*SWEET LESSON*
*Three*
夜に親子丼とハンバーガー、朝に食パン2枚にベーコンエッグを平らげて
かなりのカロリーを摂取したあたしは
今まさに始まろうとしている初授業に向けて十分な気合いを入れていた。
「人 人 人…」
ごくん。
「気合いと言うより儀式よね、それ」
「これがあたしなりの気合いでございます」
トイレの手洗い場で
ろくに拭かないままの手を顔の前にかざし、一心不乱に『人』と言う文字を掌に書いては飲み込むあたしを
ピンクのメガネをかけた綾さんが呆れた顔で見ていた。
あたしの初授業は綾さんが見守ってくれることになっている。
けどこれから授業だというのに、トイレに籠って顔面蒼白になって儀式までしているあたしをほっとけないのだとか。
「あんた今から緊張してたら、生徒になめられるわよ?いくらエリートで優秀な生徒だらけだと言っても
中身はまだガキッぽいんだし 素行の悪い奴らだってうちの学校にはいるんだから。
それに、実は優等生の方が意地の悪いいじめ方するのよねー」
「…綾さん、それ逆にプレッシャーですけど」
そーお?
じゃないですよ。
と、いうよりも
実際にあたしの緊張を高めているのは
授業をするクラスが特Aクラス…超の付く頭のいいクラスで
しかも
そこに大和が居るって事だった。