*SWEET LESSON*
「っつーことで、香蘭の女どもが邪魔しに来る前に さっさとあたしのもんにしとこーっと!」
ちょ……
待ってよ―――――!!!
…思わぬところに敵は居るものだ。
綾さんの美貌と肉体なら 男は誰だって落ちるだろう…。
あれ?でも…
「ヤスさんは?」
あの居酒屋での会話は、結構未練持ってるような気がしたんだけど。
「ヤス…?あんなの、こっちからお断りよ!!
…こないだ、あいつの姿を見かけたから声をかけようとしたんだけど
一緒に居たのが 男でさ。友達かと思って、構わずに近づいて行ったら
この目の前で!!き……キス…!!!!」
「だぁぁぁあ!!もう!もういいですからッ!!」
手にしていた出席簿を裂きかねない勢いだった。
そうか……。ヤスさんがそっち系の人なら、綾さんを断るのも納得がいく。
なんか、あたしの周りってそう言う人多くない?
「だから、傷心を癒すには新しい恋が必要だと思うわけ!!ッつーことで、宜しく!!」
……何を宜しくすればいいのか あたしには考える余裕がなくて。
ちゃんと仲直りしていない今、大和が彼女の毒牙にかかるかもしれないという不安が頭の中を支配していた。
どうしよう どうしよう…
結局、何も思いつかないままで
楽しそうに歩く綾さんの後ろを必死で追いかけていく事しか、今のあたしには出来なかった。