*SWEET LESSON*



「ふーん…。さなのストーカーねぇ…。どんな物好きな奴なんだろうな」


クックッ と小馬鹿にするように笑われる。


「あのねぇ。だったらそう言う大和も物好きって事になりますが」



「そーだよ。人が知らないもんとか、けっこー好き。ちょっとさなの場合は特殊だけど、俺しか知らない顔とかあるし」


たとえば…


と、彼は言い ソファーの斜め左の位置からずいっとあたしの顔の前にその美しい顔を寄せてきた。



「な……なにす…んんッ!!」



ぶっちゅーっ 


薄く整った唇が押し付けられ、その途端 一気に顔が熱くなる。


とろけるような、深いキス。



いつの間にか触れていた彼の手を
目いっぱいの力でぎゅっと握っていなければ本当にどうにかなりそうだ。



「ふぁ…ッ」


息継ぎさえままならない。


握り返されている手の指先を、弄ぶようにさわさわと撫でてくるおかげで


あたしの思考は完全にストップし、器用に動く口内のモノに応える事だけに集中することとなった。



艶めかしい音が、二人っきりの空間で囁くように鳴り続ける。



ホント…どうにかなっちゃいそう…




きっと、1分も経っていなかっただろう。

だけどあたしにはその数十倍もの時間に感じられる位長くて


チュッ と軽くついばむようにして離れた後も


軽く意識が飛んだような  ぼーっとする時間があった。






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