*SWEET LESSON*
*salty taste*
*One*
「ハイ、これお弁当」
「おー」
朝、黒糖稲荷が入ったお弁当を大和に手渡した。
「…なんかあった?」
昨日からの黒い気持ちを抱えたままだったあたしは、簡単に彼に悟られてしまった。
考えても考えても
罪悪感は消えるどころか、益々その色を濃くしていた。
軽蔑されるかも知れない。
ましてや、見放されるかも知れない。
だけど
何も言わずに自己解決できるほど強くなかった事に気付いた。
だから、怖いけれど…大和に言ってみる事にしたんだ…。
言った事でどうなろうとも、それは自分のせいだと覚悟して。
「あのね…」
「柳瀬の事か?」
……!!
簡単に分かってしまうんだ。
…いや、きっと…彼もあたしの想いに気付いていたのかも知れない。
「…このまま、甘えていてもいいのかな…。
気持ちを利用するようなこと…このまましていて
彼がそうだと気付いた時にどんなに傷つくのか、目に見えて分かっているんだけれど
言えない自分が居る。
…柳瀬先生の好意に応えられるわけじゃないし、そういう気もないって事は自分でよく分ってはいるんだけど…
愛されていることから抜け出すのが怖い。
せっかくできた理解者を失うのが…怖いの」