*SWEET LESSON*
「ん~…」
「ん~じゃないよ!!バカッ!!」
むにゅっと、大和の顔を押しやり 急いでキッチンへと逃げた。
「いいの?そこ、行き止まりじゃん」
「く…来るなッ!!じゃないと…えーっと、こ…コレ投げるかんね!!」
手にしたのは真っ赤に熟したトマト。
「……!!」
おーし、怯んでる隙にここから逃げようッ!
じりじりと間合いを詰める。大和は無言のまま顔を引きつらせていた。
よし、このまま玄関まで……ッ!!
と思った、その時…
ピーンポーン
誰か来た!!
不意を突かれたあたしは、思わず気を緩めてしまった。
「チャーンス♪」
だだだっと走ってくる大和!!そして…
むちゅーーーー
「ん?」
彼がキスしたのは、真っ赤なトマトだった。
「…勝った…!!」
「………」
ターゲットを差し替えられた彼はむすっと表情を一変させたかと思うと
ガブリとそのトマトにかぶりついた。
口の端から滴り落ちる滴が何ともイヤラシイッ!!
「覚えとけよ」
三下が口にするような捨て台詞を吐いて
スタスタと玄関へ向かってくれた。
助かった…。
すると、
熱烈な視線を感じた。
その視線の先に居た、ソファーの上から口を開けたまま呆けている柳瀬さんの顔を見た。
「な…何?」