*SWEET LESSON*




あたしは無表情の彼に言われるがまま、指示通りの体制を取る…

けど…


「あのぉ~…これってかなり顔近くないですか?」



目を見れない。



「俺だって望んでやってることじゃない。指示だ」


ホントか?


「背伸びして、キスするフリして」



「…マジ?」


「早くしろよ。計画が崩れんだろ」



ハイ…。



背伸びした途端に腰にまわされる手。


大和のとは違うその感覚にゾワゾワした。



まさか国枝君が犯人じゃないよね?…でも名前にYなんて付いてなかったような…


で…でも、偽名とか!?


いや、前に大和が『こういうやつは自分に気付いてほしいんだから偽名なんか使わない』とか言ってたしなぁ。



…違うにしても、本当にキスされそうな距離に身の毛がよだった。



その時だ。



見当違いの考えを浮かべるあたしの前に現れたのは…




「お…おいっ!!さなから離れろぉぉ」




少し裏返った声。




ちょいダサめの、チェックのシャツを羽織った




見るからにフィギュアとか集めてそうな……






って、誰?










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