*SWEET LESSON*
「先生方は…?」
「ん、今ね、綾チャンがカラオケで盛り上げてるよ」
カラオケ…。そんな物あったんだ。
「さなちゃんは、歌トクイ?」
「え?えーっと…友達とはよく行ってましたね」
「そっかぁ…」
「………」
何だよ、本当に。
さっきのキャラ崩壊してません?本当は無口なのか?
「…疲れちゃうよねー。明るいキャラは学校専用なんだぁ。だからちょっと息抜き」
また、心を読まれる。
「さなちゃんもさぁ、あんまり最初から頑張りすぎちゃうと後々後悔するよー?
あの時明るいキャラ演じなきゃよかった って。
…あぁ。これ俺の事か」
手すりに両腕を置き、顎までもそこに乗せて。
ダラーっとしながらアハハと彼は笑う。
「柳瀬さんって、実は気を遣ってるんですね。
…まだ話したばっかりで分からないけど、そんな気がします」
先生方に明るく接している彼は、いわば学校のムードメーカーで。
きっとそれが分かっているから、
普通にしただけで心配される事を恐れているんだろう。