*SWEET LESSON*
それにしても、やっとこの人の顔を思い出すことができた。
制服を着ていないせいでこんなに分からなくなるものなんだね。
彼は、一樹たちと店で話していたときにも後ろにいたし…
客としてとはいえ、注文の時とか
あと、ディアナと一緒に居たときにもトレーを片づけるように頼んだ時に話したんだよね。
話せば自ずと目線だって合う。
ただそれは、あたしからすれば完璧に不可抗力で。
そんな普通の事をしていただけで恋心を持たれ、更にはあたしが彼を好きだと勘違いまでしているのだ。
電話してきたのもきっとこの人。
一度、持ち帰りしたハンバーガーが間違っていてお店に電話したことがあった。
その時にケータイ番号を聞かれたんだよね…。受け答えした相手はきっとこの人だ。
完璧にそうだとは言い切れないけれど…
「さて。コイツ、どうする?」
気絶したのか、ピクリとも動かない犯人を足でツンツンする大和。
「どうするもこうするも…
取り合えず起きて話を聞ける状態になるまでは何とも言えないよ」
「あ、そ。
じゃー拘束しますか。
おーい、柳瀬!いつまで隠れてんだよ」
草むらに向かって叫んだ彼。
すると、ガサゴソと草木がうごめき
頭にクモの巣が張りついた柳瀬さんが出てきた。
「だってぇ、怖いんだもん!!
俺先端恐怖症」
「知るか。
…こっち来いよ。頭のソレ、取ってやる」
「え…」
そう言うと、優しく彼の頭に手を回し
撫でるようにクモの巣を取り除いていく大和。
顔を赤らめる柳瀬さんを見て、本当にイケナイ現場を見ているようでドギマギしてしまった。
「…あんたの男、男にもモテるよな」
冷めた目でじっとその光景を見ている国枝君がポツリと言った。
…学校でもきっと、なにかあるに違いないッ!!