*SWEET LESSON*
良からぬ想像ばかりが脳内を支配し始めたけれど、かぶりを振って邪念を吹き飛ばす。
「車にけん引用のロープがあっただろ。それを持って来い」
頭に手を置いたまま優し命令する大和。
虚ろな目で「はい…」とだけ言ってよろよろと草むらに戻っていく柳瀬さんを、罪な彼は手を振って見送った。
「さて」
くるりと振り返ったその顔は張り付けた笑顔そのもので。
何を思っているのかは分からずとも、彼が怒っているというのはすぐに分かった。
「斐二。お前どういうつもりでさなに手ェ出した?」
「手…!?あたし出されてないですがっ」
「お前は黙って変態を見張ってろ」
っかぁあああ!!!なんっつう傲慢な男だ!!!
腹が立ったから
ドカッとストーカーの上に腰かけた。
ピクっと動いたのは気のせいじゃないだろうな。
「腕を組むなんて俺のシナリオには無かったんだけど?」
「…無理やり引っ張りだしてきた役者のちょっとしたアドリブも許せないなんて
ずいぶん心の狭い監督だな」
「…殺すぞ」
「…こっちのセリフだ」
…もう付き合ってらんないよ。