*SWEET LESSON*
*Two*
「甘い!!!」
「だってさ…」
警察署から帰ってきたのは、もう日が落ちて随分経ったころだった。
疲労困憊ですぐにでも寝たいのに、大和はそうはさせてくれない。
家の前だというのに柳瀬さんの車の中の後部座席で説教されているのだ。
原因は、あたしの甘さ…らしい。
「立証もできたんだから、裁判に持ち込んで制約を立てれば良かったんだ!」
「さ…裁判なんてやだよっ!!そんな大ごとにしたくない!!」
「それが甘いんだよ!!これじゃあ捕まえた意味がない。
こっちが告訴取り下げたら、あいつの思うがままなんだぞ。暫くは大人しくしてるかもしれないけど
もしまたナイフもって追いかけられたら、今度はどうなるかわかんねぇんだからなっ」
むぅ…!!
だって、かわいそうだったんだもん!!
目覚めたらずっと泣きっぱなしで、母親にだけは言わないで欲しいって頼みこまれたら
同情心が湧いたって仕方ないじゃない!!
「あの人はもうあたしに近づかないと思うよ!
もう理想とは違うって分かったんだしっ」
「攻撃的ストーカー」
「は?」
「…今までは恋愛感情だけをもってストーキングしてきたけどな。
理想と違ったと分かれば、“裏切られた”と思うんだよ。
だから恨みを晴らすために中傷の手紙やら嫌がらせをしてくるケースだってあるんだ。
ナイフをお前にむけたという時点でその可能性は大いにある!!
分かったら引き返して告訴願い出ろボケ!!!」