*SWEET LESSON*
「じゃあ、この問題を…」
「俺が解く」
シャーペンの頭をガジガジと噛みながら大和が手を挙げた。
「え?解きたいの?…じゃあ前に出てきて回答を書いて」
伊集院さんが残念そうにしていたけど
彼はゆっくりと立ち上がり、黒板の前まで来る。
そして私を見て ニヤリ。
…何を考えているんだ。
きっとろくでも無いことに違いないっ!!
綺麗な手でチョークを必要最低限の面積でつまみ、黒板に書かれた文章の、カタカナを漢字に直す問題を解きにかかったのだが…
一向に手が動かない。
配慮をナイガシロにしない の問題なんだけど…
大和に解けない筈がない。だって、常用漢字だけでなく 本当にマニアックな漢字までもを彼は網羅しているからッ
木乃伊(ミイラ)とか鮟鱇(アンコウ)とか…あたしの知らない漢字ばかり。
そんな彼がこんな問題…
「センセェー!分かんないからヒント頂戴」
「ヒント?」
「早くぅー」
「えーと、草冠…?」
「分かったー」
にぱっと笑って、スラスラと答えを書いていく大和。
やっぱり知ってたんじゃないのか?