*SWEET LESSON*
言ったあとで“ボケ”は要らなかったな、と ちょっと反省した。
国枝君は肩で息をするあたしをきょとんとした瞳で見つめ
そして…
「ぷ…くくくくッ…ぶっ…はははははは…!!!!」
笑った。
「…は?」
机の上に倒れこんで悶える彼を、あたしはただただ見つめている事しかできなかった。
暫くその状態が続き、ようやくまともに息ができるようになったらしい彼があたしに近づいてきた。
勿論、顔は笑ったままで。
「あー。笑った笑った。
“ボケ”って何?捨て台詞?ウケるんですけど」
自分でも気にしていた事を指摘され、顔が熱くなった。
「でもさ、言いたい事言えてんじゃん。
好きとか嫌いとか、言いたくても言えないなんて分かってる。それは大人だけじゃないでしょ?
気をつかって気をつかって。
ようやく落ち着ける場所が手に入るんだもんな。
分かってるよ。
…ゴメン。意地の悪い事言って。
ただ、あんたには言っておきたかったんだ。好きな相手を嫌いなふりはするなよって。
きっといつか、あいつの事をどう思ってるか、誰かから聞かれることだってあるだろう。
大和はセンセーとの事、本気で隠すつもりはないみたいだからな」
「はッ!?大和がそう言ったの?」
聞き捨てならない台詞に、話をぶった切る。