*SWEET LESSON*
「薫さん、今日は何の用ですか?」
運ばれてきた水を飲む事もなく、指をためらいもなく突っ込み
コップの中の氷をぐるぐるかき回しながら大和は問う。
お行儀悪いよ!!
でも、『その氷になりたいわ…』ッていう目でその光景を眺めている薫ちゃんを見て言葉が引っこんでしまった。
テーブルをはさんだ向こう側に二人が座って
薫ちゃんの答えを待っている。
「そうそう。
あのねッ。あの時に出した条件があったでしょう?それを叶えてもらう時が来たのよッ」
カラン。
氷が ひと際大きな音を立てて、静まった。
「もしかして、モデルの件ですか?」
「そうよッ。……忘れてた なんて言わせないからね?」
隣に座るオカマが、にっこりと黒い笑顔を見せてくれる。
「…別に良いですけど。
呼び出すってことは今からなんですね?そしてさなからイケメンだと聞いた斐二もモデルにしたい
と。
間違ってませんよね?」
「何?」
巻き込まれた国枝君が眉根を寄せる。
「アッタリー♪
じゃ、行きましょ!」
早ッ!!
ウキウキと席を立った薫ちゃんを
大きなため息が追った。