*SWEET LESSON*
「……あーあ。もしかして白鳥さん、大和の事好きだったんじゃねぇの?」
からかい交じりで、誰かが呟く。
ざわざわとする教室。
皆が互いに顔を見合う中、国枝君だけがあたしを見ていた。
大和は…
ちらりとも見てくれない。
…ダメだ。
泣いちゃ、ダメだ。
こみ上げてきたものをぐっと抑え、国枝君に微笑む。
“大丈夫だよ”
そう伝えたつもりだったのに。
何故だか彼は 一層悲しそうな眼をした。
「――…みんな。なんなの?この騒ぎは」
席に着きなさいと促しながら、職員室へ内線の電話をかけ
白鳥さんを探してもらうように頼んだ。
受話器を元の位置に戻し、ため息交じりで振り向く。
すると
「……知っていましたわ」
渦中の人。伊集院さんが声を発した。
「彼女が大和君に想いを寄せていた事、私知っていましたの」
ざわ…
またしてもざわめく教室。
彼女の良く通る声が、嫌に耳に残った。