*SWEET LESSON*
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「センセー」
廊下を歩くあたしに、声をかけてきたのは国枝君だった。
「…何か用?お昼休みでしょう、ご飯食べなくていいの?」
平然を装ったあたしの表情に苦笑いを浮かべ
「今日のプリント、最高に読みにくかった」
と笑った。
「失礼な。でも国枝君満点だったじゃない」
他の子たちは“分かりません”とか“読めないです”とか
厭味ったらしく答えの欄に書きこんでて ちょっとへこんだ。
「…あのさ。大和の事なんだけど。
…聞いてなかったの?本人から」
遠慮がちに尋ねてくる彼。
あたしは無言で頷く。
「そっか…」
ポツリと呟いた後、暫く無言のまま廊下を歩いた。
「…飯、一緒に食わない?」
「は?」
いきなり、何を言うかッ!!
目を丸くしたあたしに、
「話したいし。保健室のセンセーも誘って食べようよ」
と言う。
「じゃあ、保健室前で!」
返事も聞かず、軽快に去っていく国枝君の背中を見つめて
大きく息を吐いた。
取り合えず、柳瀬さんのとこに行かなきゃ…か。