*SWEET LESSON*
手にしていた購買のパンとジュースを置き、あたしの向かい側に座る国枝君。
「…いつもそれしか食べてないの?」
メロンパン一個にパックのコーヒー。
育ち盛りにしては、余りにもすくなずぎる。
「ん?今日は特別。弁当忘れてきたんだ。
手持ちの金もあんまりなかったし。…カードが使えればいいんだけど」
カードって…カードって!!
なんで高校生がそんなもん持ってんだッ!
あたしですら持っていないというのにッ
良いとこのお坊ちゃんは一味違った。
「じゃあ、これ分けてやるよ」
柳瀬さんが弁当箱を掲げてゆらゆらと左右に揺らす。
「…どうも」
素直に受け取って美味しそうに食べ始めた。
「……で?話って?」
苦手なのか、里芋を突っつきながら。
あたしを見つめる。
「大和、たぶん断れない事情があったと思う」