*SWEET LESSON*




「あらあら…これはご丁寧にありがとうございます。

うちでは滅多に食べられないので楽しみですわ~」


オホホ…


…いつからそんなにかしこまった笑い方ができるようになったんだ?



うちのお母さんの、デパートでセールの時に買った着物とは全然格上の、

西陣織かなんかの着物をお召しになったお母様がこちらを振り返り



「このべべ、気になるん?」


と、優しい声で聞いてくる。


「べ…?」


べべってなんだ?



「着物のことを京弁でべべっていうんどす。うち、ちっこいころ舞子やっとったもんでなぁ。なまりが中々抜けんのよ。

旦那は大阪出身やし、大阪弁も混じってしもて


わけ分からんようになってまうけど」



かんにんなぁ



なんて謝られてしまったけれど。



京都弁と断定できないのはそんな理由があったのかと感心してしまった。


「…父親も京都弁が混じったりでややこしいんだよね」


国枝君がこっそりと耳打ちをする。


「国枝君は、訛ってないね」



「俺はこっちで生まれたから。小さい頃は親の影響で京都弁とか関西弁使ってたけど

標準語にしないと周りが何言ってるか分からなかったみたいで」


苦労したんだよね



って。




あたしの場合は、田舎のおばあちゃんの東北弁位しか触れてこなかったから

そういう友達がいたら、新鮮で楽しいけどなぁ。



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