*SWEET LESSON*






国枝君は、立ち上がり


ニコリと笑って


「ありがとう」


そう言ったのに


「あーん?誰かなんか言ったか?」


なんて、大和は空気扱いしてますけどッ!!


その顔が照れ臭そうだったのは言うまでもない。



じゃあ、とドアを出て行く彼の姿は、何だか今までで一番輝いて見えた。





窓の外から、二人でこっそりと国枝君の姿を見て。




「あ!!あいつ俺の傘パクリやがった!!」


黒い傘を差している国枝君に怒り始めた大和。


その声が聞こえたのか、こちらを振り返りニヤリと笑って去っていく渦中のお人…。



あたしは二人を交互に見て笑ってしまった。



本当に、お互いに良い友達なんだね。



こんなに大和に心配してもらえるなんて、ちょっと羨ましく思えてしまう。



「大和ぉ…」


「んー」


「カッコよかったよッ」




「……なんだソレ」




大和は笑っていたけどさ。無性に言いたくなったんだもん。



見た目も、中身もカッコいいあたしの彼。


一生傍にいたいと、切に願うよ。



…だけど。



一難去って、また一難。



本当の戦いはこれからなのだ。












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