*SWEET LESSON*





「先生!こちらにお座りになって?」


「え?は…はぁ…」


さぁさぁ って腕を引かれて、大和の隣へ誘導された。


「ミドリさん、おかわり」


「あらあら、はいはい。節子さん、コーヒーのおかわりを持って来て頂ける?あと、先生の分のコーヒーとお茶受けを」


……ミドリさんと呼ばれた伊集院さんのお母さんは、気を悪くするでもなく

さっきのメイドさんに指示を出した。


「ちょっと、失礼じゃない?」


見ていられなくなったあたしは、大和にこっそりと耳打ちをする。

「は?良いじゃん別に。
ここに連れてきたのはミドリさんなんだし」


「ええーー!?」


はっ しまった。

大声を出すなんてはしたない真似をッ!!


「すみません…」


慌てて謝ったのだけど、


「良いのよ!若い人はそれくらい元気でないとッ」


なんて笑顔で返されてッ

何だか困惑してしまう!


「先生?

ここに大和君を連れてきたのが薫子だとお思いでしたの?」



「え…!!いや、まぁ…」


急に大和が居なくなったら、脅しをかけていた薫子さんだって考えるのが普通で…

それに、薫子さんに協力していたあの多嶋ってヤツがヌイグルミを運んできたのなら、そう考えたっておかしくないでしょ?

困惑するあたしにミドリさんは


「ごめんなさいね…。親として、あなた達にどうしても謝りたくて」


と、悲しそうに笑った。




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