*SWEET LESSON*

*Three*












家に着くと そこには


「多嶋君…?」



塀に寄り掛かってうずくまる彼がいた。

あたしの声に反応し、顔をゆっくりと上げながら



「先生、薫子が 居なくなった」



今にも泣き出しそうな顔でそう言って来た。



「居なくなったって…部屋に居たんじゃ…」

「物音がしなくなったから…マスターキーで開けてもらったら

窓が……」



伊集院さんの部屋は一階にあるらしい。


まさかお嬢様が窓から外に…なんて考えていなかった彼らだから


かなりの大騒ぎになったと言っているけど


「そんなことも予想してなかったお前らが悪いだろ」


大和の分析にあたしも頷く。



「…うるさい。それよりどこか場所の見当はつかないのか」


「ずいぶん偉そうだな」

「その言葉。そっくりそのままお前に返すよ」


おいおいおいっ


睨みあってる余裕があるならッ



「さ…ッ 探しに言った方が良いんじゃないのかなッ!?」



ぐぐぐっ と顔を引き離して



「そうだっ!!お父さんの所はッ!?」


とっさに言った考えが


「お、そこかも」


って採用されちゃって!!


そんな重要な所、何で探してなかったのかと心の中で突っ込みを入れながら


多嶋君の案内でその場所へ向かった。



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