*SWEET LESSON*
「それより、この状況。どういう事か説明してもらえます?」
ずずいっ
あたしとお父さんの間に入りながら失礼な聞き方をする大和ッ
ほらー!!お父さんも苦笑してるじゃないッ!!!
「申し訳ないんだが、私も今さっき彼らに会ったばかりでね。今から事情を聞こうと思った所に君たちがやってきたんだ。
取り合えず中に入って。あ、君達 大丈夫だから持ち場に戻ってくれ」
あ、警備員さん達居たんだ…
速足で来た道を引き返していくオジサンたちにちょっぴり同情しながら扉を閉めた。
「ソファーにどうぞ。今君たちの分のコーヒーを淹れるよ」
「あっどうぞおかまいなくッ」
社長さん自ら淹れてくれるだなんて気がひけますッ!!
でも
「自分の分のついでだから」
って笑いながら返されて…
大人の男の人って いいなぁー なんて思ってしまった!
そんなあたしを見て大和は
「俺だってお前の為なら何杯だって淹れてやるッ」
なんて対抗意識を燃やしてる。
「さて。どういう状況なのかさっぱり分からないんだが…
誰か説明してくれるかな?」
ごごッごごごごッずごッ
エスプレッソなんかも簡単に淹れられる高そうなコーヒーメーカーが、
見た目とはにつかない下品な音を立てて唸っている間に
多嶋君が、脱走までのいきさつを簡単に説明してくれた。