*SWEET LESSON*
「何で何もしないまま止めちゃうの?」
彼の動きは、あたしに優しくキスをした所で止まってしまっていた。
“優しくできない”って言っていたクセに。
カナトは、悲しげな笑みをあたしに向けると
ゆっくりと身を起して座った。
「…涙なんて見たら、そりゃ、理性のある大人は躊躇しちゃうでしょ」
「え…」
…気付かなかった。
知らない間に涙がシーツを濡らしていた。
「ごめんなさ…ッ…違うのっ!
ちゃんとするからッ!!お願い、もう一度…」
「良いんだ」
…何が良いというのだろうか。
あたしは良くないよ。
だけど
「…君は、逃げてどこに向かうつもり?」
優しく呟いた彼の言葉に、涙腺が崩壊した。
あたしは…何を求めてるんだろ…?
カナトに逃げて
大和を忘れて
それで解決できる?
そもそも、忘れるなんてできっこない。
逃げるだけ。
逃げて、何が変わる?
…分からない。
「分からない…」
自分の道を迷っているあたしに
大和を責める資格なんてなかったんだ。