*SWEET LESSON*
寒さが肺の奥までやって来て、あたしに痛みを与えてくる。
少しだけ立ち止まって、また走りだそうと顔を上げた…
その時だった。
「さなッ…!!!」
目の前に、同じように息を白くさせた大和が
こちらに走ってくるのを見つけた。
「大和…
やまとぉぉぉ!!!!」
もう限界だった筈の足が 自然に動き出す。
靴を放り投げ、ごつごつと痛いアスファルトを蹴って
大和の腕の中に…
「おりゃァ゛ァァあああああ!!!!」
ドスッ
「グフ…ッ…さ…な…?」
崩れ落ちる大和とは逆に、あたしは両足で着地して見せる。
飛び蹴りを喰らわしてやったのだ。
飛び蹴り選手権があったらきっと、あたしが優勝していただろう。
その位見事に鳩尾に入っていた。