*SWEET LESSON*




「どうして、カナトに言われた事に反論しなかったの?

あたしの事、嫌いになった?」



しゃがみこむ大和と同じ目線を作って聞いてみた。



「違うよ…。


でも、当たってるから」


自分が必死過ぎて、さなの自由を奪ってる事


子どもだから、そうやって閉じ込める以外に一緒に居れる方法が無い事


全部当たっていたから



「反論どころか、止める余裕さえなかった。


自分よりもずっと大人で、社交的で、立派すぎる位の仕事も持ってて


だから、俺


こんなガキ臭いヤツと一緒に居る位なら、あいつの所に行った方が幸せになれるんじゃないかって…」



……懐かしい。



こんな時に笑うのもどうかと思ったけど


昔の、幼いころの大和を思い出してしまったから。



一生懸命あたしの後ろを追いかけて来て


大好きだよ


愛してるよ


って、そう言ってくれた彼の事を。



あの時の大和も、こんな表情をしていた。



自身が無くて


だけど誰よりもあたしを愛し、心配してくれて



そして 守ってくれた。



その愛にあたしの心は動かされたんだ。







< 327 / 365 >

この作品をシェア

pagetop